他の債務整理方法と比較して、個人再生には、どのようなメリット、デメリットがありますか?

ゆき
個人再生のメリット、デメリットを教えて下さい。
しんじ先生
わかりました。他の債務整理方法と比較してみましょう。

個人再生のメリット

個人再生のメリット

取り立てが止まる

個人再生の申立手続を弁護士や司法書士に依頼し、債権者が弁護士らからの通知を受け取った場合や、債務者本人が裁判所に個人再生の申立を行い、その旨の裁判所からの通知を債権者が受け取った場合は、以後、債権者は取り立てを行うことは禁止されます。
もっとも、これらは他の債務整理の方法でも同じですので、個人再生だけのメリットという訳ではありません。

元金まで減額が可能

任意整理や特定調停では、債務の減額には債権者の承諾が必要であり、利息分はともかく、元金部分のカットまで同意してくれる債権者はほとんどいません。

これに対し個人再生では元金部分まで含めた大幅な減額を認めてもらえます。個人再生は、ここが最大のポイントです。

例えば、小規模個人再生では、分割弁済するべき総額は、最低弁済額の要件と清算価値保障の要件の2つで決まります。このとき特にみるべき資産がなければ最低弁済額のみが基準です。この場合の減額できる金額は次のとおりです。

債務額100万円以上~500万円未満 100万円に減額
債務額500万円以上~1500万円未満 1/5(100万円~300万円)に減額
債務額1500万円以上~3000万円未満 300万円に減額
債務額3000万円以上~5000万円以下 1/10(300万円~500万円)に減額
ゆき
500万円のときは5分の1。ということは100万円です。80%もの減額です。3000万円以上のときは10分の1、つまり90%もカットしてもらえますね。すごい減額です。
しんじ先生
個人再生の効果がいかに大きいかが、理解できると思います。

資産処分は不要

自己破産は、破産管財人に財産を処分されてしまいますが、個人再生では処分は不要です。

債権者の同意が不要

任意整理と特定調停は、あくまでも話し合いなので、債権者の同意が必要ですが、個人再生では債権者の同意はいりません。

小規模個人再生では債権者の過半数(人数の過半数で、かつ債権総額の過半数)が積極的に反対の意思を表明しない限りは再生計画を認めてもらえます。

給与所得者等再生では、たとえ過半数の反対があっても再生計画が認められます。

住宅ローン特則が使える

自己破産では、資産は処分されますので、住宅を維持することはできませんが、個人再生は、住宅ローン特則の利用で、住宅を維持しながら債務整理が可能です。

資格制限はない

自己破産は免責決定が確定するまで、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、取締役、宅地建物取引士、警備員、パチンコ店店長などの一定の職業に就く資格がなくなります。個人再生には、このような資格制限が一切ありません。

免責不許可事由は問わない

自己破産では、例えばギャンブルや浪費によって不相当に過大な債務を負担したようなケースでは免責不許可事由があるものと判断されてしまう場合があります。

しかし、個人再生では借金の原因は問題ではありません。

もっとも、個人再生は分割払いを認める制度であり、分割払いの約束を実行できるかどうかは厳しく審査されます。そこで借金の原因がギャンブルや浪費だった場合は、今後は大丈夫なのかどうかをチェックされることになります。

個人再生の申立準備を始めた段階から、きちんと収支を記録し、浪費やギャンブルという悪い性癖を改めた実績を裁判所に示すことが必要となってきます。

個人再生のデメリット

個人再生のメリット

全債権を平等に扱う必要

話し合いである任意整理と特定調停ならば、話し合う債権者を自由に選択できます。

例えば、カード会社とは分割払いの交渉を行う一方で、勤務先から借りた債務、親戚から借りた債務は、これまでどおり支払いを続けるという選択が可能です。

これに対して自己破産と個人再生では、全債権者を平等に取り扱う必要があります。債権者の一部のみについての自己破産や個人再生は認められません。

ただし、個人再生では、住宅資金特別条項制度を利用することで、住宅ローンだけは特別扱いを認めてもらうことができます。

今ある資産以上の支払いが必要

個人再生で債務の減額と分割払いが認められるのは、債務者が自己破産してしまうよりは債権者のお得になるからです。そのため、自己破産したときに処分しなくてはならない資産の価値を査定し、その価格以上の分割弁済をすることが要求されます。これが清算価値保障の要件です(清算価値保障の原則ともいいます)。

そこで、債務者に資産が多いと、分割弁済しなくてはならない金額が高くなってしまい、減額の幅が少なくなり、個人再生を利用するメリットが薄くなってしまうケースがありますので注意が必要です。

例えば、債務額が1000万円の時には、最低弁済額は5分の1の200万円なので、債務を800万円もカットできます。

しかし、もしもこのときに600万円と査定される資産を持っているとしたら、600万円が分割払いの最低額となり、400万円しかカットできないわけです。

ブラックリスト登録

個人再生の申立をした事実は、信用情報機関に登録されます。通称「ブラックリスト」です。

銀行やカード会社などの金融機関は、融資の審査の際に、この登録データーを参照します。登録されてしまうと、新規の融資は事実上不可能となります。

各種のローンを新規に受けること、クレジットカードを新規に発行してもらうことなどはできません。 携帯電話やスマートフォンを分割払で購入することもできなくなります。

但し、ブラックリストに登録されてしまうことは他の債務整理方法でも同じですので、個人再生だけのデメリットではありません。

ブラックリストについて、詳しくは別記事で解説していますので、そちらをご覧下さい。

官報に掲載される

官報は新たな法律の公布などを国民に知らせる国の新聞です。個人再生の手続をした事実は官報に掲載されます。これは自己破産も同じです。

ただ、一般人の大部分は官報を読んだ経験はないでしょう。どこで読めるのかも知らないでしょう。

したがって、個人再生をしたことを、周囲の人々に知られる危険性は事実上はないと言って良いでしょう。

保証人に迷惑をかけてしまう

任意整理や特定調停で、債務の減額や分割払いを合意すると、その効力は保証人(連帯保証人も含みます)にも及びますから、保証人の責任も減額されますし、債務者が分割払いを続ける限り、保証人が一括払いを請求されることはありません。

しかし、個人再生の効力は保証人には及びません。むしろ保証人は、保証した全額を一括して支払う義務を負担することになります。

個人再生で、債務が減額されて分割払いで良いことになっても、それは債務者本人限りに認められる特典です。

もともと保証人は、本人が債務を支払えない場合に責任を負担するための存在ですから、債務者が個人再生を申し立てすれば、債権者は当然に保証人に対して支払いを請求します。

個人再生では、保証人に迷惑をかけることを避けることできませんので、保証人の方に事情をよく打ち明けて理解を求めることが肝要です。このデメリットは自己破産も同じです。

個人再生の手続は難しい

個人再生は、企業を対象とする「民事再生」を、個人向けに簡素化した手続ですが、それでも法制度としては非常に複雑な分野です。

弁護士など法律の専門家でも簡単には理解できないほど、細かいルールであふれており、熱心に勉強して十分な経験を積まないと取り扱うことはできません。

任意整理は自分で交渉できないわけではありませんし、特定調停は債務者だけで利用できることを目指した制度です。自己破産も、特にめぼしい資産を持っていないのであれば、自力で自己破産手続をすることもできないわけではありません。

しかし、個人再生に限っては、一般の方が、自分だけで手続をすることは、実際上まず無理です。どうしても専門家の力を借りなくてはならないと思って下さい。

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