債務整理の方法として、特定調停を選択すると良い人

ゆき
債務整理の手段として、特定調停を選ぶと良い人とは、どのような人でしょうか?
しんじ先生
特定調停の制度内容やメリットデメリットについては別記事で詳しく解説していますので、そちらも参照していただくとして、ここでは、それを前提に簡単にまとめてみたいと思います。

弁護士、司法書士の費用を節約したい人

特定調停は、本来は、まさにこれを目的とした制度です。
自己破産、個人再生ではなく、債権者との交渉を希望する方で、費用を節約するために、ご自分で申し立てや出頭をする労をいとわない方は、特定調停制度を選択するべきでしょう。

返済計画を立てられる人

免責のある自己破産以外の債務整理は、すべて一定額を返済することが前提となっています。特定調停においても、現実に約束を守ることができる分割弁済案でなければ無意味です。

それだけでなく、特定調停では合意に反した場合はすぐに強制執行されるリスクのある点が、他の債務整理手段との大きな違いです。現実的な返済計画が必要です。

したがって、弁済できる自信のない方、今の収入が続かない危険のある方は、特定調停の利用は慎重になるべきでしょう。

債権者から強制執行を受けている人

債権者から給与を差し押えられてしまった、銀行口座を差し押さえられてしまったなどの強制執行を受けてしまった方は、それをストップしてもらうためには、債務整理とは別途に弁護士に依頼して執行停止申立手続が必要となり、弁護士費用と裁判所に積み立てる担保金が必要となってしまいます。

しかし、特定調停では、強制執行したままでは調停がうまくなくゆかないと裁判所が判断すれば、強制執行をストップしてもらえます。

不動産などの高額資産所有者

不動産、高級自動車、貴金属、宝石、有価証券など高価な財産を保有している方が、自己破産を選択すると資産は処分されてしまいます。

また個人再生を選んだ場合でも、清算価値保障の要件によって、仮に自己破産した際に処分して配当される資産の価値以上の金額を分割弁済しなくてはなりませんので、支払総額が大きくなり、個人再生のメリットが薄くなってしまう危険があります。

そこで、このような方は、資産の処分も要求されず、支払いの最低額も定められていない特定調停がひとつの候補となるでしょう。

ゆき
特定調停はメリットが多い債務整理と思っていましたけど、それだけに着目することは早計のようでした。
しんじ先生
あくまで話し合いなので、自己破産、個人再生に比べて自由度が高いこと、同じく自由度が高い任意整理よりも費用がかからないことは確かです。
しかし、特定調停なら債務整理が成功するなどと簡単に考えてはいけません。それぞれの債務整理方法のメリットデメリットをご自分でよく検討するだけでなく、専門家の弁護士、司法書士に相談することが大切です。